47歳の女性がマリファナを販売したとして、グアダルーペ警察署麻薬取締部に逮捕されました。(2018年8月25日午後11時)
容疑者はJosphine Padayoさん(47)とその同居人であるとされています。Padayoさんからは袋詰めされたマリファナの葉4袋を押収しました。
女性は現在、グアダルーペ警察署で拘留中です。
50人に1人が薬物使用者
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、就任するや否や、薬物対策を政権の最優先課題をとして打ち出し、「薬物戦争」を宣言しました。薬物撲滅のため、薬物に関わった者の殺害も辞さないとの強行的な姿勢を示し、世界中から大きな批判を浴びました。
フィリピンの統計では薬物使用人口はおよそ180万人とされています(一説には、300万人を超えているとも言われている。)
日本では、毎年約1万人が覚せい剤取締法で検挙されています。フィリピンの人口は約1億人なので、薬物使用者の割合は日本の約180倍ということになります。
フィリピンの薬物汚染は世界でもっとも深刻といっても過言ではありません。
自警団
自警団とは、麻薬に関わった人物やレイプ、誘拐などの法律違反を犯した人物を、裁判にかけることなく処刑するための組織です。(ドゥテルテが組織したとの噂がある。あくまで噂。)
自警団には法律を超えた特権が与えられたとされていまして、麻薬密売人や法律違反を犯したと思われる人物のリストを受け取ると、そこに載った人物を探しはじめ、見つけ次第殺害して回ったと言われています。
現地警察は、自警団との関与を一切否定し、自警団による反抗は麻薬カルテル同士の抗争によるものだとの見解を発表しています。
死者数は6,216人
ドゥテルテ大統領就任直後の2016年7/1~12/31までの死者数は6.216人。このうち警察の手による死者は2,167人、自警団の手による死者は4,049人とされています。
殺害された人の多くはその場に放置され、遺体のすぐそばに「麻薬取引に関わった。」と書かれたボール紙が置かれます。
こうした殺害のニュースが地元メディアで連日報道されたことにより、殺されるよりはマシだと考えた多くの麻薬関係者が警察に自首したため、フィリピン全土の刑務所はどこも定員オーバーになっているということです。
便乗殺人で無罪に
フィリピン国家警察のデラローサ長官は、麻薬絡みの殺人事件約3,500件について、その約3分の2は麻薬とは無関係であり、「麻薬戦争に便乗したものだった。」との声明を出しました。
では、なぜその約3分の2の人は殺されたのでしょうか。
デラローサ長官は「2,000件以上は個人的な理由による殺人。プロを雇った殺害もありうる。」と述べました。
もしフィリピンにおいて、金銭のトラブルや怨恨で人を殺害したとしても、その遺体のそばに「麻薬に関わった。」という紙を置いておけば、捜査は打ち切りになります。
まとめ
セブルートでもこれまに2度、セブ島で起きた殺人事件についてを投稿しました。その事件のどちらとも最終的には薬物関係なのではないかという推測がされています。しかし、たとえ薬物でなかったとしても、薬物だったことにしてしまえば警察も国民も「殺されるようなことをした方が悪い。」という思考になります。
もっともこわいのが冤罪や便乗殺人でして、「薬物撲滅」という大義名分のもと、ただの無法地帯になりつつあるフィリピンですが、それでも国民はドゥテルテ大統領を支持しています。外国人の私からすると、「おかしいよ。」としか言いようがありません。
私は大学1年の時に伊藤塾の資料を請求するほど法律の勉強にハマっていた時期がありました。その中で、「犯罪者にも人権がある。」という記述を見たときに、法治国家というのは素晴らしい制度なんだな。としみじみと感じた覚えがあります。犯罪者を許す必要はありませんが、それでもやはり人として、人による裁きを受ける必要はあると考えています。