【コロナ治療薬】レムデシビルの薬価決定、割安価格ながら米国では批判的に受け止められる

投資

この発表を受け、ギリアドの株価はプレマーケットから大幅に上昇したものの、結局は前日とほぼ同じの寄り天で終わってしまう。

2340ドル(25万円)という価格は安いか高いか

ギリアド社のレムデシビル(製品名はベルクリー)はFDA(米国食品医薬品局)の承認を受けた唯一の治療薬です。

5/1に緊急承認を受けて使用されており、無償提供という形になっていましたが
7月より商用生産体制が整ったとして有償販売となります。

その薬価設定が注目されていましたが、昨日
・自国含め先進国間では統一の価格設定とし、2340ドル(6本投与コース)となる。(これが最安値でコース及び公的・私的保険かで価格も高めに変わる)
・新興国についてはジェネリックメーカーに生産委託をする形で、より安価に提供するとのこと

コロナは回復期間まで時間がかかることで医療機関を苦しめていますが、ギリアドはその回復期間を4~5日短縮させるとして
死亡率に有意差はつかなかったものの、重症患者の回復を早める薬としてFDAの緊急承認を受けて使用されていました。

コロナ患者に対する高額請求問題

日本と異なり国民皆保険ではなく、また上下の格差がエクストリームな米国ではこの問題が直撃していました。

何十万ドル、時には100万ドル(1億円!)に達することもあるこのコロナの治療費が、レムデシビルによって回復期間が短縮され安くなるのであれば
ゲスな事を言ってしまえば「それ以下の値段であればお得だよね?(ニッコリ)」という価格設定もできたはずです。

事前予想では4000ドル~5000ドルの薬価でしたが、2,340USDという比較的割安な値段となりました。
これがもし妥当な価格でなければ株価は暴落していたでしょうから、市場としては肯定的に受け入れられているということになります。

感情的には肯定的に受け入れられなかった

ところが米国民からはあまり肯定的に受け入れられておりません。

①感情論

1つの理由は、やはり安価で手に入りやすいステロイド系抗炎症剤「デキサメタゾン」の効果が報告されたりしているのにも関わらず、
治療費から見て相対的に安価でも、絶対的に25万円という効果な値段が受け入れられなかったことにあるでしょう。

こういった緊急時・世界的なパンデミックなんだから無償提供が当然だろ!というような感情論です。
言っていることはわかりますが、それが通ればどの製薬メーカーも薬なんか作らなくなってしまいます。

②効果への疑念

しっかりとした治験で回復期間の短縮が証明されたものの、そもそももともとエボラの薬でたまたまコロナへの効果が確認されただけで
本来のエボラ薬としてはFDAの承認を受けていなかったり、

前述のステロイド系の安価な薬の効果が報告されていることもあって、ギリアド社が利益確保に走っているという見方もあります。

③公的資金の投入

この上院議員の言うことはまぁそうやろな、という感じです。

身も蓋もない言い方をすれば
「米国民の血税を投入したのに、なんで他国と自国の値段が一緒なんだ」
ということでしょう。

これは一番理解できます。

賛否はともあれ、売上予測が出る

こういった有力者のツイートや、否定的な見方の記事が出たためか、結局ギリアドの株価は戻してしまいました。
ただ、感情論はさておいて薬価が決定したことでギリアドの売上がどれくらい増えるのか具体的な数字で出たことになります。

薬価の発表の後
少なくとも米国政府として50万人分のレムデシビルの確保の契約、との報道も出ました。
これは少なくとも1.2億ドルの売上に相当します。米国政府との契約だけでこれです。

またすでにフェーズ1まで進んでいる、静注ではない吸入薬の方も8月には結果がでるとのこと。
正直なところ、もともと大型薬もあり財務もよく、配当性向も高いギリアドに、コロナでさらに売上も付くのであればギリアドは買いだと思います。

もちろん2倍3倍を狙えるものではありませんが、逆もまた然りですので
リスクの少ない株式投資にはぴったりだと思います。

少なくとも、ボーイングを買って一喜一憂するよりはよっぽどまともだと思いますね…

 

※投資は自己責任でお願いします。