日本人女性が東南アジアで働く奮闘記<野口さんへインタビュー>

コロナ後

ごきげんよう。花沢です。

海外でガッツリ就労経験は無い花子ですが、セブに長期滞在するアラフォー女性という事もあり、何故かセブ島で働く日本人女性の繋がりがどんどん増えていっています。

本日は、その友人の中から1人、面白いフィリピン生活奮闘記をお持ちの野口さん(仮)にZOOMでインタビューをしてみました。

セブ島に5年間働いていた25歳女性 野口笑子さん

ーーーー野口さん、お久しぶりですね。今日はお忙しい中お時間取っていただき、ありがとうございます。早速ですが、簡単な自己紹介をお願いします。

花沢さん、超お久しぶりです!!お元気ですか?
私の名前は野口笑子(仮)です。今は日本に帰国していますが、今年の2月まで約4年間(インターンを含めると約5年間)、セブ島の某語学学校で現地採用のマネージャーをしていました。25歳です。出身は広島県出身です。

ーーーーありがとうございます。花子は元気ですよ。
4年間語学学校でマネージャーってすごいですね。どのようにして就職されたんですか?

私、歯科衛生士になるための短大を20歳に卒業しているのですが、
そのまま日本で就職するのは少し違うな、と思ってずっと気になっていたセブ島留学を決意して、まずは3ヶ月、セブ島に留学しに来たんです。
3ヶ月が終わっても、まだ英語力が足りないなと感じて、その学校にインターンとして延長することにしました。

5ヶ月のインターンを終えた後、そろそろ日本に帰ろうかな、と悩んでいた時、
その学校のマネージャーから、「新しい校舎建てるからもっと人員が必要なんだよね。マネージャーになったら?」とお声を頂き、海外で正社員って経験は中々得られないな、と思いお話を受けたんです。

語学学校の新校舎開校の為に正社員へ

ーーーー野口さんの行動力と人望がなせる技、というわけですね。その若さで海外就職のお誘いを貰えるなんて、すごいです。
どんな内容のお仕事だったんですか?

いえいえ、そんな。ただ飄々と生きていただけですよ。笑
そうですねー、簡単に言うと、新校舎の開校準備とその後の学校運営をその他数名の同僚と共に行っていました。

奮闘記エピソード1.天井からコーンが

ーーーーフィリピンで新校舎を建てるって、準備だけでも大変そうですね。思い出に残る出来事ってありますか?

いやー色々ありすぎて何から話して良いのか笑
けど1番笑ったのは、新校舎を開校して3日目に天井からコーンが落ちてきた事ですかね。笑
もうあの時は本当面白かったです。クックッ

ーーーーえ、コーンですか?笑 なんでまたいきなり笑

話すと長くなるのですが、新校舎を開校するときってインスペクションと言って、施設内の設備に不備が無いかシティーホール(市役所)から確認が入るんです。
なんと開校2日前にいきなり、インスペクションに来ていたそのシティーホールスタッフから「お前らはオープンできない!」って怒られちゃって。
え!?何事!?と思うじゃないですか。

そしたらなんと、電気配線や水道パイプが通る屋根裏に大量のお水のペットボトルやコーン缶、ビールが置いてあって、なんとそこで作業を進めながら外部の業者スタッフが生活をしていたんです。クックッ

その中には汚物が入った物もあったらしくって。。

もうその写真を見た時は衝撃が走りますよね。顔面真っ青ですよ。それでそのペットボトルや缶は、その電気配線業者に全て開校前に撤去させたのですが、まだコーンが1缶残ってたみたいで、そのコーンが入った缶を、オープン後に電気のメンテに入ったスタッフが間違えて蹴っちゃって、天井から壁伝いコーンにが流れ出てきちゃった。っていうわけです。

奮闘記エピソード2.開校前日に電気がショート

ーーーーそんな、日本では考えられないですよね。それを笑い飛ばしちゃうってすごいです。その他はありますか?

うーん、開校の前日に、電気配線の不備で全ての電気がショートしたのは笑えませんでしたね笑
その校舎の寮のキッチンには、翌日生徒を迎える為の食材なども購入してた訳ですから笑
食材が腐る!まず明日授業すら行えない!寮にも案内できない!っててんやわんやで、慌てて新しいブレーカーを追加して復活させました。いやーあの時は本当に焦った。。

奮闘記エピソード3.スタッフがまとめて蒸発

ーーーー電気が無いと何も出来ないですからね。ましてや開校1日目で。。それは大変。

ああそうそう、新しく雇ったスタッフがまとめて蒸発したっていう事件もありました。
キッチンスタッフやフィリピン人講師を総勢20名くらいかな?新しく雇って、2週間目の月曜日に8人くらい次の日に来なかったんです。クックッ

元の親校舎からも万が一の為にスタッフや講師を連れてきていたのでオペレーションはなんとか問題なくこなせましたが、、あの時はフィリピン人に殺意を覚えましたw
今思うと、現場を担当していた私たちマネージャーがきちんと管理出来ていなかったんだな、と反省しました。
けど、フィリピン人スタッフが無断欠勤や無断退職するのって、結構当たり前の世界なんですよね。この国って。

フィリピン人の優しさに助けられた

ーーーー確かによく聞きますね。会社で10年プレーヤーが次の日置き手紙を置いて忽然と消えていた。とかそんな話もよく聞きます。
それにしても奮闘してばっかですね。そんな大変でも4年、インターンを入れると5年も頑張れた理由とはなんですか?

毎日がカルチャーショックだから5年もいれたんだと思います。
自分の常識が全く通じない、常に宇宙人と喋ってる感覚がすごくクセになりますね。
日本でもちゃんとした会社でろくに働いた経験も無いですが、良い意味でも悪い意味でも、日本ならこんな感じで事は運ばないな、とか考えると、今の経験ってすごく貴重なんだなと思います。

まぁ、頻繁にフィリピン人スタッフや国に対して殺意がわいたり、ハプニングが起こっても神頼みしかしないスタッフがいた時は、キリスト教を取り上げてやろうかって非道徳的な思考に陥ったりしますが。。

けど、最後に救われるのはやはり、フィリピン人の優しさと人懐っこさなんです。
年齢が年齢なので、学校の古株スタッフ達は私を我が子のように可愛がってくれたり、仕事でシリアスな局面だと迅速に指示に従ってくれますし、すごく助かっています。
なんか少し悔しいですが、ここが私のアナザースカイなんだなって感じます。

気になる給与や会社の待遇は?

ーーーーここが私のアナザースカイですか笑 少しキザですね。野口さんっぽくなくて面白いです。
うーん、次の質問は少し聞づらいのですが、ぶっちゃけお給料は如何程ですか?

おおお、ぶっちゃけ質問来ましたね笑
海外就職を考えている方は凄く気になる所だと思います。私の場合は現地採用なので、日本で働く25歳の年収の少し安い方、とだけお伝えします。
ただ私の場合、日本で海外転出届を出していてフィリピンでも在留届を提出。お給料もペソで頂いているので、日本の税金は払っておらず、任意の年金だけ支払っているので手取りの差し引きはありません。

ーーーーえええ籍抜いてるんですか!ちなみにフィリピンでのビザはどのタイプですか?会社の社会保障は?

最初のインターン、マネージャー就任後の半年は観光ビザ+SSP(語学学校の学生向け特別学生ビザのようなもの)でしたが、その後は通常就労ビザの9Gでした。

会社の社会保障はきちんとしています。日本にも法人の会社があるので、籍を抜きたくない人は日本の会社に在籍、社会保障の一切を受けています。もちろん年2回のボーナスも有り!

私のように、籍を抜いてフィリピンの会社に在籍している場合は、海外保険には任意で入りますが、もし入らなかった場合でも何か病院へ行く場合はその額を会社が持ってくれます。ボーナスも有りですよ。

女性の働きやすい職場

ーーーービザや待遇はちゃんとしているんですね。女性社員は多いですか?また、女性の働きやすい職場ですか?

会社には私の他に7人の日本人社員がいますが、そのうちの私を含めて3人が女性です。
よく、外資の方が女性が働きやすい実力社会。とありますが、日系であっても海外で働くとその思想は強いと感じます。
上司は全員男性ですが、フィリピン人講師の8割が女性という事もあって、女性と働く事に対して免疫がついていますし、女性ならではの悩み(月経など)への理解も深いので助かります。

ただ、意外だったのが海外にいる日本人男性よりもフィリピン人の方が男尊女卑が少しあるということですね。フィリピンって若者(10代~20代前半)と20代後半~とじゃ考え方に差があって、20代後半~の方だと女性が毎日お酒を飲むことや、家族と離れて海外で働くことも驚かれたりします。

それでも日本に比べて海外への出稼ぎや、女性が組織の中枢に立つこともフィリピンの方が進んでいるので(なんせフィリピン人男性は働かない)、日本ほど男尊女卑はない、とは思いますが。

長期滞在者の週末の過ごし方

ーーーー女性が働く事に対して理解があるのは素敵ですね。やはり、日本より進んでいるイメージ。
週末は何をして過ごされているんですか?

週末は、マンゴーストリートやアヤラモールで昼から飲んだり、コンドミニアムを借りているのでたまーにそのコンドミニアムのプールで友人や同僚とBBQしたりしていました。
けど新校舎が安定してきてからは、スクールトリップにもよく行っていましたね。定番のオスロブやモアルボアルなど。
元々泳げないのですが海は好きなので、生徒と一緒に旅行するのは楽しかったです。
何も無い日はとにかく引きこもって漫画やドラマを一気見していましたね。

コンドミニアムを借りて暮らしていた

ーーーーフネさんと出会ったのもアヤラモールのルーフトップBarでしたね。漫画トークで盛り上がって仲良くなった事覚えています。ところでコンドミニアムを借りていたと仰りましたが、詳細を聞いていいですか?

そうでしたね笑ほんと、日本人女性で土曜の昼間っからアヤラモールのBarで1人飲みしてるって、興味わいちゃって私から話しかけたんでしたっけ。笑
今ではこんなに仲良くなれて嬉しいです。

コンドミニアムですか?私は学校近くのマボロの方で借りていて、すごーい狭いスタジオタイプ(ワンルーム)、キッチン、シャワー、WiFi、共有プール、家具付で月1万8千ペソの所に住んでいました。


寮に住むと光熱費・食費・洗濯掃除サービスも全て無料で提供されるので、大体の同僚は寮の方に住んでいましたが、私は寮内でお酒が飲めないのが嫌だったのと、料理が出来ないのが苦痛でした。

海外で働いてスキルアップ!

ーーーー全て無料ってすごく待遇良さそうですが、部屋でお酒が飲めないのは辛いですね。
このトータル5年間で、身に付いたスキルは何だと思いますか?

スキルですかー。まずは英語ですね。留学として来ていた時は、本当にYesとNoしか知らないようなレベルだったのですが、今ではビジネスシーンでも殆ど困らないくらいには英語4技法全てレベルアップしたと思っています。
去年セブでTOIECを受験したら、845点でした。

あとは、日系の会社ということもあって、日本の代理店さんとメールや現地で訪問の対応する時に身につけた社会人としてのマナーも、そこそこ身に付いたんじゃないかな、と思っています。言葉遣いや常識的なマナーは、日本に帰った時にきちんと身に付けていないと馬鹿にされますからね。

それと、これはポジション的な問題ですが笑
私のポジションが、アカデミックというよりはどちらかというとキッチンやメンテナンス等のオペレーション側になるので、
新校舎を建てる時の図面やデザイン、メンテナンス等の専門知識も一時期英語で勉強していました。まぁ、工業高校1年生レベルだとは思いますが笑

大まかなスキルはこれくらいだと思いますが、実際次の転職先で働き始めないと、自分がどのように成長できているかって客観視できないんじゃないかと思っています。

転職は日本?女性としてセブに長期滞在は辛い

ーーーー転職先は日本ですか?そもそも、転職を決意したキッカケは?2月と言うと、まだコロナ渦が本格的に始まる少し前ですよね?

私が帰国した2月は仰る通りコロナ渦が始まる少し前でしたね。あの時も私はこんなに大事になるとは露ほども思っていませんでした。
転職のキッカケは、まぁキッカケというキッカケはありませんね。
私はまだ独身ですし、セブにいても出会いが限られる。というのがメインの理由です。出会う異性って生徒や同じ業界の方ばっかりなので。

25歳になったら、キャリアばっかりを重視するのではなく、女としての人生も生きようと決めていました。
もちろんセブでの職場もすごく楽しかったのですが、段々と新しい事を始めたいなっていう気にもなってたんでしょうね。

転職先は日本のつもりでしたが、帰国して落ち着いて直ぐにコロナ渦が始まってしまって。今は人生の路頭に迷ってます笑
今後暫く海外というのも難しい気がするし、かといって日本でもどのような業界がこんなスキルの少ない私を必要としてくれるのか、また、私は何がしたいのか、、今考え直してるって感じです。

ーーーー今を生きる若者な皆さん同じような意見なのではないでしょうか。それにしても女の人生を生きる、というのは刺さりました。花子は独身アラフォーなので。

花沢さんは独身を心から楽しまれている感じがして、かっこいいですよ!自立した大人の女性って感じです。私が今後結婚出来なかったら、花沢さんのような女性になりたいと思います。
まずは職探しからですね。本当に、コロナの後にはどんな需要があるのかずっと調べたり考えたりしていますが、当ブログの著者であるマスオさんの記事はすごく勉強になります。

ーーーーありがとうございます。花子も実はまだ結婚を諦めてはいないのですが、そう言って頂けて嬉しいです。
野口さん、今日はありがとうございました!日本での転職頑張ってくださいね。また、フィリピンでもお会い出来ること、楽しみにしています。

まとめ

いやー野口さん、いい子でしたね。奮闘記の中には少し闇を感じるところもありましたが、この留学業界であれだけ逞しく生きていないとやってられないんだと思います。

コロナ渦が終わったあと、留学業界が今後どのように変わっていくのか、また、この業界だけでなく、”海外で働く”ことすら難しくなっていくのか、まだ誰も未来は分かりませんが、実は花子も海外就職を考えている中の1人。若者だけでなくこのようなアラフォーも夢を見ていいんじゃないかと日本を飛び出して今に至ります。

奮闘記だけではなく、給与や会社の待遇、女性の働きやすさについて素直に応えてくれて、大変参考になりました。

改めてありがとう。野口さん、また昼飲みしようね。

ではまた、次回のブログにて。